はこだて賛歌

北海道新聞 夕刊 地域情報版   「みなみ風」 コラム欄 立待岬
2016年(平成28年)03月14日 第5407号 掲載


 新幹線開業日が近づいた。記念イベントも多く企画されている。五稜郭タワーでは26日午前10時から午後3時まで、茶道裏千家淡交会函館支部の会員が無料で抹茶を振る舞う。来函された方々との多くの出会いと、思い出がつくられる特別な日になることだろう。

 26歳の時に仕事を半年休んで旅行中、訪れた函館との出会いで函館に大きな文化を残した人がいる。音楽プロデューサーの今は亡き、高橋徹(あきら)さんだ。

 「おまえら、函館好きか! 沿道のお客さんに拍手!」。音響車から広がる高橋さんの声。高橋さんは、今や函館港まつりに欠かせない、いか踊りの作曲を手掛けた。埼玉県在住だが毎年、踊りパレード「ワッショイはこだて」のために来函し、車に乗り込んで声を響かせた。

 北大イカ研をはじめとする常連もふくめ、踊りの列が十字街銀座通りを出発すると、函館の短い夏がもう少しで終わるなと感じながら、あきらさんの姿を見ていたのを思い出す。

 いか踊りの自由参加で恒例になった「はこだて賛歌」の大合唱。あきらさんの「誰かに住む街聞かれたら」との投げかけに応えて「はい。函館と答えます」と歌い出す。あの掛け声を耳にすることは残念ながら、もうないが、思い出の中で函館に生き続ける人になったあきらさん。函館を見守ってほしい。

あらためて、はこだて賛歌を知ってほしいと思う。函館市のホームページからダウンロードできる。

 

登録日 : 2016-03-16  | 最終更新日 : 2016-11-15 | カテゴリ: 社長のコラム, 道新「みなみ風」