ローカルに生きる

北海道新聞 夕刊 地域情報版   「みなみ風」 コラム欄 立待岬
2016年(平成28年)02月05日 第5382号 掲載


 
今年も裏千家家元より東京での初釜式のご案内をいただき出席した。出席者は宗家と縁が深い方々ばかりで、そう簡単に声を掛けられる相手ではない。あいさつをするにもタイミングが必要だ。
 待ち合いの場でそんなことを考えていると、たまたま近くにいた品格ある紳士とご婦人との間で会話になった。「新幹線が開業するので、ぜひご来函を」とアピールしたら、実は昨年、函館に行って教育大で講師をしましたと紳士が言う。
 「受講生がいい子たちでね。国際海洋都市の函館だからこそ外交問題を学ぶ意義がある」。その紳士は、元外交官で宮内庁東宮大夫も務めた野村一成先生だった。優しい笑顔で世界観をご教授いただき、まるで授業を受けているようでラッキーだった。
 その後、初釜の濃茶を飲みながら考えた。函館と青森の間には国際海峡の津軽海峡がある。観光もいいが、これからは外交官をはじめ、国際的に活躍する人材を育てる地域にするのもありか、と。「1人の子ども、1人の教師、1冊の本、1本のペンでも世界を変えられる」と国連本部で演説した少女の願いを、函館の教育大が具体的に実践できればいいのにと思う。
 私の好きな言葉に「グローカリゼーション」がある。グローバルに見て、ナショナルのことを考えて、ローカルに生きる。函館というローカルで、そんな生き方ができればいいと思っている。

 

登録日 : 2016-02-07  | 最終更新日 : 2016-11-15 | カテゴリ: 社長のコラム, 道新「みなみ風」