急須で熱かん

北海道新聞 夕刊 地域情報版   「みなみ風」 コラム欄 立待岬
2016年(平成28年)11月14日 第5571号 掲載

 見晴公園内香雪園で開催されていた「はこだてもみじフェスタ」が終了した。本年も名勝旧岩船氏邸で抹茶を楽しむ体験会を担当。雨天ではあったが、多くの方々が紅葉をめでながら、抹茶を楽しまれていた。

 出来る事ならば、杯を交わし茶を振るまい、一期一会の紅葉を見て一時を過ごせたなら最上の思い出になるな、と勝手に想像していた。

 季節がら燗酒が恋しくなるが、ぜひ急須で燗酒を楽しんでほしい。原点回帰だ。「急須はもともと、中国で酒のかんに使われた注ぎ口のある鍋。茶葉を入れ、湯をさして煎じ出すのに用いる小さな土瓶」。こう定義されている。熱かんの好きな自分は、日本酒を急須に注ぎ、文明の力である電子レンジでチン。急須選びは鉄製のアミが付いたものでなく、いにしえながらの急須でお願いしたい。

 焼酎のお茶割りも楽しい。急須に茶葉と焼酎を適量入れ、適量の湯をさして煎じ出し、グラスに注ぐ。これまた茶の風味と酒の個性が遊べる急須の利用方法である。原点回帰と革新のバランスで時代にあった楽しみがあると思う。

 函館に、いにしえながらの急須作りを生業とする若者がいる。道教大函館校を卒業し、教職から転向した白岩大佑さんだ。ペットボトルのお茶の影響で、急須は需要が激減した工芸品だが、これからの日本の急須は、函館が発信場になるかも!

登録日 : 2016-11-15 | カテゴリ: 社長のコラム, 道新「みなみ風」