運動会の名シーン

北海道新聞 夕刊 地域情報版     「みなみ風」 コラム欄 立待岬
2014年(平成26年)06月23日 第4989号 掲載

 

 函館にある多くの小学校の運動会は、5月下旬から6月上旬に開催されることが多い。4月に入学したばかりの1年生には初めての大きな学校行事であり、6年生にとっては小学校で最後の運動会でもある。
 運動会では今も昔も多くの名(迷)シーンが生まれる。花形のリレー競技や綱引き、玉入れ、全てがドラマだ。私の知っている限りの運動会は紅白戦だ。赤組になるか白組になるかは時の運だが、赤が勝つか白が勝つか、応援合戦が花を添える。
 綱引きであったり、玉入れは、一般的には3回戦が用意され、先に2勝した時点で勝者が決まるのが常だと思う。6月の晴れた日曜日、市立あさひ小グランドで行われた玉入れで名シーンが生まれた。
 小さい手に玉を持ち、児童が合図と同時にカゴめがけて投げ続ける。一見、いっぱい入ったように見えていたとしても、終了後に玉の数を数えてみなければ勝負が分からないドキドキ感がある。玉入れでは引き分けは珍しく、2回戦とも引き分け、3回戦ともなれば両者ともにあとがないわけだが、この3回戦目も引き分けというシーンをこの日、多くの人が初めて目にしたことだろう。
 赤、白両組とも勝ちにしてあげたいとも思ったことだろうが、4回戦へ。さすがに勝負はついたが、あさひ小学校の運動会史に残る名勝負。子どもたち、教職員や保護者、グランドで玉入れを見守った人たちの心に残る玉入れだった。

登録日 : 2016-02-07  | 最終更新日 : 2016-11-15 | カテゴリ: 社長のコラム, 道新「みなみ風」