書体にも個性

北海道新聞 夕刊 地域情報版     「みなみ風」 コラム欄 立待岬
2014年(平成26年)05月02日 第4955号 掲載

 

 5月2日は八十八夜。今年も新茶のシーズンがやってきた。新茶前線も桜前線のように南の鹿児島から福岡・八女、静 岡、京都へと産地が北上し、店頭の品ぞろえが進む。学生時代に茶業試験場で身につけた茶の知識と人のつながりを生かし、これから各産地の特性や味、香りの 多様性あふれる品ぞろえをしていく。
 なじみの茶農家や問屋さんと接する際には、「はこだてさん」と呼ばれているので、産地に行っても「はこだて です」と名乗る。函館では3代住んでようやく函館っ子と言っていいそうで、3代目になって根を張り続け、「はこだてさん」と呼ばれるのも意義があるよう だ。農家や問屋さん、静岡での定宿など、3代続いて取引しているのが今では珍しくなった。
 「函館」と署名するにしても、書体にも当然個性があるので人格が分かるそうだ。誰しも何らかの書体があってそれが筆跡となる。書かれた文字を一目見た際に、誰が書いたか分かるほど強烈なオーラを持っていたらすごいなと思う。
 「丸山園茶舗」という店名の書体にしても、函館で開業した初代と2代目の書体から発せられるイメージは異なる。店名の書体は維持してもいいし、変えて増や すのも悪くない。丸山園茶舗ののれんを守る3代目の私はこのたび、店名の書体を新しく代替わりさせることにし、本格的に茶の仕入れに臨むことにした。

登録日 : 2016-02-07  | 最終更新日 : 2016-11-15 | カテゴリ: 社長のコラム, 道新「みなみ風」