白い鼻緒

北海道新聞 夕刊 地域情報版     「みなみ風」 コラム欄 立待岬
2014年(平成26年)01月20日 第4884号 掲載

 

 平成26年甲午の年が始まった。茶の湯の世界では、新春の事始めの茶会が催される時節である。函館でも函館茶道連盟主催による新春茶会が丸井今井デパートで開催され、各流派の特色ある茶席が函館市民をはじめ多くの方を迎えた。
 日本文化において畳の文化というのをあらためて考えてみると、不思議なもので、その上を歩くものであり、茶わんを直接置くところでもある。畳にあがるという言葉がある。他に表現があるかなと考えてしまうが、私には思いつかない。履物を脱いで上がるからなのか。
 昨年、裏千家東京道場で催された今日庵初釜式に家元から呼ばれた際、受け付けから待ち合いに通される際に、白い鼻緒の履物にと案内された。ご招待された多 くの殿方は普通の靴下だったので、白い鼻緒をひっかけるような形になる。その場に呼ばれなければ知ることはできなっかたが、待ち合いで、スーツを着たお寺 さんの足元は、白タビだったのを拝見し和の文化なんだと勉強になった。
 家に上がるのだから、履物を脱ぎ、タビも清らかなタビに履き替える。床であったり畳であったり、座る文化を新鮮な気持ちで考えてみたいものだ。あたり前のことすぎるからこそ、発見があるように思う。
 東京オリンッピクの開催も決まり、おもてなしの言葉が注目を浴びたが、日本的なおもてなしを実践するにいま一度、東洋、西洋の文化を考える年になるのだろうか。

登録日 : 2016-02-07  | 最終更新日 : 2016-11-15 | カテゴリ: 社長のコラム, 道新「みなみ風」