文化は力なり

北海道新聞 夕刊 地域情報版   「みなみ風」  コラム欄 立待岬
2015年(平成27年)08月03日 第5260号 掲載

 

 イチハコと言えば市立函館高校。ザイダンと言えば、文化・スポーツ振興財団。その財団の関係者にとって大きな結果と運営ノウハウをもたらしたGLAY(グレイ)。またグレイをこよなく愛する「グレーヤー」の方々、施設運営管理をするスタッフにも、大きな自信をくれたことだろう。
 函館でのイベントに多少なりとも関わる者として、2年前の雨天の中、緑の島でコンサートが開催され「壁」を取り壊して行政機関の連携を実現してくれた雨に、曲に、感動した日を思い出す。
 こけら落とし公演の今年7月25日、地域コミュニティー放送局、FMいるかが特別番組を実施。放送では、聖地函館での開催を喜ぶ多くの声が流れていた。うれしいものだ。
 東日本大震災で被害を受けた東北の方々の心を支える音楽活動があることを、放送を聞いていて強く受け止めることができた。震災はまだ終わったわけではない。音楽だけではなく、さまざまな分野でも必要だ。
 安土桃山時代の国際貿易港、堺には戦国の世にあって、武力の恐怖と威圧から自由な安全が保障された聖なる空間として茶室があった。主人と客人は茶室では対等の立場になる。主人みずから最高の礼儀と敬意をもって茶をもてなす。
 グレイは音楽版の茶の湯を函館アリーナで開催してくれた。国際海洋都市から音楽を通して、文化は力なりと示してくれた。

登録日 : 2016-02-07  | 最終更新日 : 2016-11-15 | カテゴリ: 社長のコラム, 道新「みなみ風」